デザインの本来の機能とは何か、私たちはしばしば自問する。コミュニケーションであれ美的価値であれ、その表層が提起すること以上に、デザインは自らの枠組みを覆い隠す装置として機能する。隠れた前提を意味を運ぶ媒体へと変換するのである。このことによって、デザインは一種の「本当の嘘」となる。それは現実から乖離していても、信頼でき、実感を伴う物語を構築するだけでなく、確からしいと感じられるかたちへと事実を如何様にも作り変える。デザインの力は真実を反映することにあるのではなく、信じられるものへと再編することにある。
ENTERPRISEは二年目に入り、新たな段階へと移行した。第一段階では協働の仕組みを検証した。他のアーティストとの関係形成、アートハンドリングの仕組み、そしてパフォーマティヴなオブジェクトが文化生産をどのように形づくるかを扱ってきた。第二段階では視線を内部へと向けている。法人化の過程を経たことで、コーポレートアイデンティティをを法的あるいは行政的形式としてのみならず、美学的かつ行為的な構造として捉え直すに至った。それは信用と一貫性を生成し、価値を創出するよう設計された枠組みである。20世紀に生産の頂点として出現した企業形態は、今日に至るまで支配的であり続け、その影響力を生活のほぼあらゆる領域にまで拡張している。この不透明で遍在的な道理に直面し、私たちはその仕組みをより注意深く考察せざるを得なかった。COREはこの問いを空間へと展開する。
ENTERPRISEの企業ショールームとして構成され、かつての産業管理施設であるTRAPEZで提示された本展は、企業空間に特有の視覚的および言語的な定型を採用することで、自らが参照するシステムを映し出し、同時に批評の対象とする。本プロジェクトは、企業らしさの行為的側面に焦点を当てている。企業体がいかにして深みや意義を与えられ、いかにして表層、語調、振る舞いを通してアイデンティティが構成されるのかを検証する。こうした馴染みのある形式を用いることで、それらが完成された真理ではなく、仮置きの枠組みにすぎないことを明らかにする。それらは中身があることを前提としながら、空のまま成立する形式である。
本展においてデザインは答えを提示するものではなく、現在の制度的構造が抱える脆弱で不安定な状態を映し出し、その中心にある空白を明らかにするのである。
テキスト: Lark Ring – 中崎大河