工業用防水シート、木材、赤いフロアマーキングテープ。「MANIFESTS EXCHANGE」は、(視覚的に) 前回の展示「MANIFESTS」の基本コンセプトに立脚する。この空間には、スイスおよび日本で活動するアーティストやコレクティブによる芸術的な 14 の在り方が、特別に区分けされた場所で提示されている。 ENTERPRISE が MANIFESTS とともに香川のSyndicate(オフスペース)に一時的に身を置いた後、今度は東京の中心部にある√ K Contemporary ギャラリーの敷地内に作品が留まることになった。 アート作品は販売され、展示会場から運び出されるのを待っている、というのがこの展示会場のあらまし である。社会的な関係項から切り離され、単独の存在として機能するよう意図された作品群を難なく観賞で きるホワイトキューブとは異なり、この ENTERPRISE が行う介入は、作品、ギャラリスト、アーティスト が世界中を飛び回るグローバルなアートマーケットの現実を彷彿とさせる。ギャラリー空間が停泊地となる とき、現代アートの特徴であるその流動的次元が浮き彫りになる。ここにおいて、嗜好品としてのアート作 品はとりわけその流通上の課題において姿を明らかにする。
この演出された倉庫空間は、「展示」という状態が常にひとときの停泊に過ぎず、後に解体され、次の搬入が行われ、このサイクルが少なくとも作品をこのサイクルから抜き出す買い手が見つかるまで繰り返されることを想起させる。こうした「展示」が持つ不安定さは普段、注意深く人目か ら隔てられ、収蔵庫の裏側を覗き見るようなことは、通常のアート作品の展示とは対照的である。伝統的な 展示環境は、結局のところ、人工的に作り出された空白であり、作品発表に至った作業の痕跡がすべて取り 除かれ、作品の循環、作品が歩んできた道、そしてやがて再び歩むことになる道が覆い隠されていることで 成り立つものであることが明らかになる。ここで提示された展示形態は、アート作品が他のあらゆる商品と 同様に、世界的な貿易と輸送のネットワークの一部であることを明確にしている。整然としたホワイトキュー ブの中で、展示ビジネスの物流的な現実が視覚的レベルで排除されるなら、それはまた、芸術作品を現実的 な世界の関係項から切り離されたものとして様式化したり、内容的な次元だけにおいて参照点を見出すよう な、アートの理解を永続させることになる。
対照的に、この展覧会では、展示自体が持つ一過性と儚さ、そして特に現代アート市場を特徴づける枠組み条件を取り上げている。建設業や運輸業で親しまれている工業用防水シートのような素材は、ギャラリー を異なるゾーンに分割するように配置され、光と影の魅惑的な戯れに空間を浸すとき、いわば独立した芸術 的要素として機能する。こうした実用性を重視した芸術的なある構造の応用は、保管に多大なコストがかか る品物をスムーズかつ迅速に扱うという、芸術それ自体が価値を持っているという支配的な概念とは対照的 である。この芸術特有の価値は、経済的利益から独立した、あるいは経済的利益によって限定的にしか定量化できない瞬間として繰り返し定義される。これはまた、アーティストの労働つまり彼らが投資する時間が 作品としてではなく、その価値を貨幣化できないパフォーマンスとして上演されることを意味する。アート 作品とその生産をそれ自身の論理に従わせるという考え方は、アートの現場における不安定な労働条件を正当化するべく、きわめて危険に利用されている。これに対して、この展示のコンセプトは、アートプロダクショ ンが経済的な関係項に包含されていることを思い起こさせる。
テキスト: Elsa Himmer